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歯科情報

  アメリカ合衆国


アメリカの歯科技工士事情


免許について

アメリカでは、歯科技工士の免許というのはありますが、残念ながら免許を取らずに歯科技工の仕事をしても法律的に問題ありません。
免許があるとドクターからの信頼が得られる可能性がありますし、就職のときに有利かもしれない(?)という感じくらいのようです。
これでは「歯科技工士」という地位というか、職業がちゃんと確立していないのではないか?というのが僕の印象です。
アメリカにおいても「歯科技工士」という職業は実力が全ての世界のようで、免許の有無や肩書きよりも実力次第で評価されるようです。実力が全てという点はアメリカも日本も変わらないかもしれません。

 アメリカ合衆国

歯科技工所の開設

アメリカは日本に比べて手続きは少ないようです。役所などへの届出も、外国人登録などもいりません。
場所を決めると、市役所に行ってビジネスライセンスを取ります。許可証はたったこれだけのようで、その後技工所の設備が消防法に問題がないかなどを調べられるようです。これに関しては場所によって規制が変わります。
別名目でライセンスを取ることも可能で、歯科技工所がダメなら病院でも工場でも良いようです。日本人の感覚からすると違法のような気もしますし「別名目でライセンスを取るなんてホントに良いのかな?」という気がしますが、そうする人は多いようです。なんかここらへんの大雑把な感じがアメリカっぽいですね。

歯科技工所開設関連は手続きを行ってくれる担当者でコロコロと話が変わるようないい加減な感じのようです。ですが、治安の良い州ほど規制が厳しいようです。
日本の歯科技工所の多くは、自宅を改造したのが多いですが、アメリカのほとんどの地域で自宅を歯科技工所に改造することは禁止されているようです。


給料について

日本のように交通費などは支給されず、扶養手当などもつきません。
結婚してようが遠い所から出勤しようが、そんな事個人の責任で会社は関係ないという感じのようです。アメリカではプライベートのことは干渉しないドライな社会です。
初任給は大体どこでも時給8ドルで1日8時間労働、土日休みで23日勤務。ここから税金が引かれて、手取りは12〜13万円ぐらいのようです。独身の人は税金が30%くらい引かれるみたいです。
「あれ?日本より儲かるんじゃないの?」と思った人、僕もそう思っていたので、初めて聞いた時は驚きました。
3ヶ月や6ヶ月や1年ごとかぐらいで給料の査定が行なわれ、給料が決まるようです。最大の時給はだいたい20ドルくらいです。
月給制変更になった場合、残業手当は出なくなるようで、そのため給料が減ることもあります。

会社について

儲かっている人は一握りのようで、アメリカでも決して甘い世界ではありません。本当に全く甘くないようで、日本のように週休2日ではなくて土日も仕事という会社もあるようです。
日本では月に1回くらいは祝日がありますが、アメリカはないですし、日本よりアメリカの方が休みが少なくて大変かもしれません。
基本的にアメリカ人はドライな部分があるので、使えない人材だと思ったらすぐにクビにします。日本のように温情とかはあまりないようです。アメリカの歯科技工士事情は甘くなくて結構大変のようです。

儲からない技工物

まず意外にも儲からない技工は「矯正」です。手間がかかる割りに単価が安く、納期も短い場合が多いようで、矯正技工はアメリカではあまり喜んでやるような仕事では無いようです。
日本では保険の技工と自費の技工と分かれているからいるからでしょうか、矯正の技工はどの国でも儲かると思っていました。
また、義歯も儲からないようです。工程は難しいのですが、比較的単価が安いようです。アメリカでは患者の第一選択肢はインプラントによる治療なので、経済的に余裕のない人が義歯を入れるという位置づけになっている為かもしれません。
基本的にアメリカでは義歯は安いので、ドクターのイメージも安いようで、ラボ自体が高値で設定していても、かなり値切られるようです。日本では金属床は高値ですけど、金属床でもやはり安いようで、だいたい金属床一個の値段はFCK(フルキャストクラウン)の二個分くらいのようです。

 アメリカ合衆国2

アメリカの歯科技工所のレベル

これは日本と同じくらいかもしれません。日本と同じで、歯科技工所によってレベルが様々のようです。技工料金が安い歯科技工所でだったら、とにかく早くたくさんの技工物を作ることが大切になります。安い料金なので、より多くの数をこなすという事になって品質はそれほど重要になりません。
ですから安い歯科技工所に勤務する歯科技工士は腕が悪いです。ですが逆に高い料金でやっている高級な歯科医院専門でやっているような歯科技工所は、患者の為の仕事がされているようで素晴らしい技工物を製作しているのでレベルは大変高いと思います。
どれだけこだわって製作し高い技工料金を請求しても、それでも富裕層の方は構わないようです。それが通用する辺りはアメリカらしいですね。
以前のイメージでは大雑把で色のこだわりもないような言われよう(僕が習った学校の講師はこんな言い方してました)でしたが今では細かいし、ホントに上手い方も多いみたいです。
ですから、レベルはどうかと聞かれると、日本と変わらないと答えるでしょう。しかし、新人の技工士の腕はかなり下手な人も多いようです。これは国家試験が無いからかもしれません。とにかく卒業させてしまえば良いわけですから、酷い腕のまま卒業する人も沢山いるようです。

アメリカで製作される義歯

日本で義歯を製作する時、人工歯の使用する色はほとんどA2〜A3.5の色になり、多くののラボはB・C・D系統の色はほとんど使わないと思います。
アメリカでもやはりA2やA3は多いようですが、B・C・D系統の色を使用する場合も比較的多くあるようです
床の色も日本ではあまり暗い色や明るい色など変化させることはないことが多いですが、アメリカでは色々とこだわるようで、混ぜて色を作るドクターもいたりするようです。

 アメリカ合衆国3

ダンピングについて

アメリカではどんなに安い歯科技工所が現れても価格競争というのは起こりにくい状況にあります。
それは、貧乏な患者さんは安い歯科医院に行き、お金持ちの患者さんは高級な歯科医院に行くように、所得によって異なり、歯科医院ごとに料金体系があり、歯科医院ごとに利用する歯科技工所が異なるからです。
当然、富裕層の方は治療に何万ドルというお金をかけます。ですからそのなかで技工料金が少しくらい価格差があっても大した問題ではありません。価格でなく、できるだけ良いもの、安心できる材料、高い品質を求めるようになります。

基本的に自由経済のアメリカでは、中国や韓国などからも多くの歯科技工物が輸入されています。最近はやはり中国製が多いようです。そうとう低価格なようです。
でもこの技工物を扱うような歯科医院は安い歯科医院で、それを利用するのは貧乏な患者さんだけでしょうね。


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