
歯科技工士が働いている職場の環境
歯科技工作業に伴う健康被害の中で特に問題視されているのが”粉塵が肺の中に蓄積されて起こるじん肺”です。他にも技工作業中による感染症についても注意しなくてはいけないのですが、作業中における粉塵による被害はかなり懸念されています。
ちなみに1960年に成立した”じん肺法”においてのじん肺とは、粉塵を吸入することによって肺に生じた線維殖性変化を主体とする疾病を指し、労働者がじん肺にかかる恐れがあると認められる作業のことを「粉塵作業」と称しているそうです。
じん肺は、起因物質(重金属、アスベストetc.)によっては、いったん罹患すると治癒の可能性は非常に低く、肺がんなどの合併症の危険もあります。
これまでも、粉塵の多い環境の下で行われる歯科技工作業が、呼吸器系の健康被害を与えるのではないかという観測はあったものの、国内で歯科技工士の健康問題について大規模な調査が行われるというのはあまりみられません。今後の職場の環境改善にもつながるかもしれないので詳しい調査というのは必要だと思われます。
⇒ 歯科技工所の構造設備基準について

【じん肺を予防するにはどうすべきか】
じん肺予防のための最低限の対応として、空気清浄機、バキューム(室外排出型の集塵機)などの設備は必須になってきます。ちなみに喫煙者ですと、じん肺になるリスクを押し上げることが知られており、禁煙は絶対の条件だと言われています。
また、作業のなかで特に研磨作業においては、粉塵に顔が非常に接近してしまうので研磨作業中は防塵マスクの着用が求められる。
Q.現在の勤務先で粉塵対策は配慮されていますか?

資料提供:日本歯科技工士会
ベテランの歯科技工士の方にバキュームが掃除機だったり、防塵マスクをするのが面倒だからと言って、しないで研磨する人が結構見受けられます。自分達の健康を守るためです、まず技工室の環境改善とともに「じん肺」に対する 日頃の検診や配慮が必要だと思われます。
(2016.4.29再編集)
(2016.6.12再再編集)
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