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臨床で働く歯科技工士の声

歯科技工士のイマを訊く-vol.3- 【濱本 範俊さんの場合】


これまでの技工人生

こんにちは、歯科技工士の濱本です。私は技工士学校を卒業してまず、専修科というところに進みました。専修科を卒業した後は、ドイツ歯科技工マイスターの大畠一成先生に師事し、多くのことを学ばせていただきました。

歯科技工専修科というのは皆さんもご存知だと思いますが、技工士学校を卒業してその後、学校やその関連施設にて学生として勉強するところです。私の卒業した技工士学校の専修科は、大学病院の研究室に出向して2年間その研究室で勉強するものでした。勉強といっても研究室に所属している歯科医師の先生たちの臨床ケースを製作させてもらいながら勉強するというもので、いわば臨床と変わりないものでした。

私はこの大学病院にいた時代に、義歯からクラウンブリッジまで、様々なケースを経験することができ、現在のスキルや知識の基盤となるものを得ることが出来たと思っています。専修科に行くまでは、卒業後すぐに就職するより遠回りをするようで不安でしたが、今は専修科に行って良かったと思っています。

今現在の技工業界について

平成26年4月から保険診療において、小臼歯に対し歯科用CAD/CAM装置を用いて、ハイブリッドレジン歯冠補綴装置(全部被覆冠に限る)を設計・製作し、装着することが認められました。CAD/CAMハイブリッドレジン材料は、一般の硬質レジン築盛作業で生じやすい気泡混入・重合不足等の技工上のエラーが発生することなく、高レベルかつ安定した品質の補綴装置の製作が行えることが最大の特徴ですが、従来の材料に比べ口腔内に装着する際に注意を要する場合もあります。

今まで歯科用CAD/CAM装置は、主に自費技工でしか使用することがないものでしたが、保険適用により、クラウンブリッジ技工においては避けて通れないものとなりつつあります。また、最近では金属の値段が高騰しており、価格の安定したCAD/CAM材料が歯科業界の活性化につながると感じています。

学生や若手達へどのようにしていくべきかのアドバイス

歯科技工という仕事は、やはり経験と感性が必要だと思います。感性は日々の鍛錬で磨いていくことは可能だと思いますが、経験だけはなかなか身に付くものではありません。しかし、日々の積み重ねが後に大きな成果になって自分に残るものだと思います。経験とは、一枚ずつ紙を積み重ねていくようなものだと思っています。紙は一枚ではただのペラペラの紙ですが、積み重ねることによって車を支えることも出来ます。若いうちは「早く一人前になりたい!」そう思う気持ちはよくわかりますが、遠回りをしてでも、しっかり経験を積んでいくことをお勧めします。

では、具体的に何をすれば良いのか?それは簡単です。私は今でもワックスアップや形態修正の時など、歯牙模型を見ながら行います。自分が今作る歯の理想的な歯牙模型を見ながら、コピー出来るところは出来るだけ忠実に再現していきます。これは、大畠先生に師事したときから、今でも必ず守っていることです。

義歯に関しては、学生時代から毎日、理想的に排列したロウ義歯を眺めています。これは何も難しいことではありません。毎日10分でも良いので、トイレに入っている間だけは必ず眺めると行った具合に、ルールを決めて習慣にしてしまえば苦になりません。そうするだけで、義歯の排列が飛躍的に上手になると思いますので、ぜひ試してみてください。

最後に

最近私の周りでも、若い歯科技工士が不足してきているように感じます。歯科技工士の年齢別人口を見ると、圧倒的に若い世代が少なく、これからの若い人たちはとても重宝されると思います。ですから、せっかく免許をとるのに何年も勉強するのですから、臨床に出てからは、少しの間我慢して努力してみてください。そうすればきっと素晴らしい未来が待っていると思いますよ。
歯科技工士は辞める仕事ではない!私はそう思います。

濱本 範俊
(2014.11.6)

【筆者】
M本 範俊 (はまもと のりとし)
株式会社キュステデザイン社長
日本顎咬合学会認定歯科技工士
OralStudio技工部門アドバイザー
【略歴】
東京都練馬区生まれ
東京歯科技工専門学校卒業
東京歯科大学千葉病院補綴科
デンタル・ラボア・グロースを経て
札幌にて潟Lュステデザインを開設

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