iPS細胞で歯の再生が可能になる?
国立大学法人東北大学は、幹細胞が上皮細胞との相互作用により、どのような細胞運命をたどるかを解明する過程で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、エナメル質をつくるエナメル芽細胞の誘導に成功しました。
これは東北大学病院の新垣真紀子医員、歯学研究科の福本敏教授らと、米国国立衛生研究所、岩手医科大学、東京理科大学との共同研究による成果です。
私たちの歯はエナメル質と象牙質よりつくられており、その中でもエナメル質は体の中で最も硬い組織です。
象牙質をつくる象牙芽細胞は歯を形成した後も歯髄の中に存在し続けますが、エナメル芽細胞は、歯が萌出(生える)すると、体の中に存在しなくなります。
このためエナメル芽細胞がどのように分化し機能を維持しているのか明らかでなく、そのメカニズム解明や、これらの細胞を歯の再生に応用する為には、マウスの胎児を利用しなければなりませんでした。
今回、研究グループは、ラット由来の歯原性上皮細胞とマウス由来iPS細胞を共培養することで、iPS細胞がエナメル基質であるアメロブラスチン、エナメリン(エナメル芽細胞マーカー)を発現することを確認しました。
また、この分化過程において分化誘導に用いた細胞から分泌されるNT-4(神経栄養因子の1つ)やアメロブラスチンが重要な役割を演じていることを明らかにしました。
この成果は、今まで困難であったエナメル芽細胞の役割を明らかにすること、さらには歯の再生の為の細胞ソースとして応用可能な新しい技術です。
本研究成果は、米国の科学雑誌「The Journal of Biological Chemistry」電子版に掲載されました。
(12.2.14)
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